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IMDSについて

【1.IMDSについて】
  製品含有化学物質を伝達する仕組みは、「情報フォーマット」「伝達プラットフォーム」「対象物質リスト」が基礎にある。ここでは2回に分け、自動車業界で1990年末から使用されている、IMDS(International material data system)とADSL(Global automotive declarable substance list)について紹介します。

 IMDSは、欧州ELV指令(2000/53/EC)に対応するために欧州の自動車メーカが合議の上、HP社に開発・運営を委託した、「情報フォーマット」と「伝達プラットフォーム」を併せ持つ仕組みです。(現在は、HP社のソリューション部門の流れをくむDXCテクノロジー社が運営)

 当初、欧州自動車メーカ主導で始まったが、日米自動車メーカが参加し、テスラ等の電気自動車メーカを含め約50社が参加しています。これまでに登録ユーザーは70万ユーザー(アクティブユーザーは15万)、登録会社は23万社となっています。これまで蓄積したデータシートは1億400万シートとなっています。自動車では、車両の製品寿命が長いこともあり、当初からのデータを蓄積しています。(*1)

IMDSのシステム運営費は、最終製品製造者である自動車メーカが負担しています(金額は非公開)。サプライチェンの部品メーカは、入力用データ収集、入力業務に対し責任を有しています。IMDSはサプライチェンを川上から最終製品製造者である自動車会社までデータを送信していく「伝言ゲーム」のような仕組みです。入力フォーマートや入力データの精度を維持するため各段階のデータ受信者は、川上から送信してくるデータについての確認を求められています。

 DCX社資料によるとIMDSの特徴は、①セントライズ化しウェブアプリとデータベース ②ウェブアクセス/オプションインターフェイス ③マスターデータの共有 ④ワークフロー管理 ⑤DCX社によるサポート ⑥セントライズ化したオペレーション ⑦セキュリティとデータ機密管理 ⑧ルール化されたレポーティング が示されます。このうち③のマスターデータについて説明すると、ある部品複数の川下企業に販売された場合、材料のデータを封筒に入れ、仕向けを宛名ラベルのように貼付すれば、データを共有できるというものです。データを送付された川下企業は、データがどこの企業と共有されたかはわからない仕組みになっています。(*1)

 IMDSの入力ルールは、登録ユーザーのみ閲覧可能な、「Recommendation」という文書で規定され、変更項目は「リリースノート」で周知されます。IMDSは、単にデータベースだけでなく、「報告対象法規に応じた項目」も含め対応しています。(*2)

 IMDSでは個々のデータをMDS(Material data sheet)と呼んでいます。MDSは4種類のデータ属性から成り立っている、それぞれ①技術情報(素材、管理対象物質に関するデータ)②ビジネスデータ(受信者情報、送信者情報、部品情報等)③抵触法規
情報、利用技術規格 ④その他 入力企業は川上がサーバーに登録したから自社宛のMDSをダウンロードした上で、部品加工或いは構成の変化に伴う追加情報を付加し、MDSをアップロードします。受信企業はそのデータをダウンロードして使用することになります。最終的に自動車メーカは、すべての部品に関するMDSをダウンロードし、自社工場の作成部品データを加え、車両部品表に基づきデータを再構成し、リサイクル率、管理対象物質等を車両単位で算出しています。

 IMDSは、ELV指令対応を念頭に開発されたため、製品中の管理対象物質に加え、製品中の素材(鉄、アルミ、樹脂種類等)、リサイクル分類等が求められています。近年は資源循環政策に基づくELV指令改定案(2023年にコメント募集)をにらみ「再生材料使用比率」「重要原材料使用量」等をとりこむように改定されています。

 IMDSは自動車会社が運営している仕組みです。ビジネス・戦略面を検討する「スポンサー会議」専門家が主体となる「ステアリング委員会」の2本立てで運営されています。「ステアリング委員会」には、「地域ステアリング委員会」が設置されています。各地域で課題を議論し、グローバルな「ステアリング委員会」もしくは「スポンサー会議」で議論することになります。各会議体にはDCX社が参加し、システム対応等の議論を実施しています。(*1)

引用先
(*1)IMDSについて
DCX社からの提供情報
3251a31d-b1d0-215b-ddac-eea47bc575dc (mdsystem.com)
(*2)IMDSホームページ
IMDS Information Pages - ホーム - IMDS Public Pages (mdsystem.com)

 

​(2024年4月)​
 

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